平成10年度の研究は、インスリン依存型糖尿病患者に対する患者教育方法論や教育モデルを示し、実践ある方法論として発展させることを目的に取り組んだ。 その結果、患者教育の方法論として、INSネット64の電話回線を利用した画像による継続教育、患者支援システムを構築した。そして、テレビ電話を使用した患者教育支援システムとして、遠隔地に居住する小学生を対象に導入し、その意義について評価を継続している。このシステムは、医師、看護婦、栄養士による糖尿病キャンプでの教育実践を展開している専門性の高い医療チームを編成し、患者の成長発達に応じて、生活に密着した形での指導を可能にするものである。さらに患者とその家族を中心とするチームに、学校(教師、養護教諭)を加えて展開している。その効果は、患者自身の糖尿病の自己管理能力の向上や家族を含めた癒しの効果、さらに地域への啓蒙効果が評価できた。マルチメディアを用いたこれからの患者教育の方法として、大きく発展する可能性を持った方法論であることを確信した。 今後は事例を加え、経済的な評価と個々の患者の発達段階における有用性について検討を加えた研究を継続するとともに、チームアプローチを効果的に展開するために、指導・支援のための人的ネットワークを整備することが今後の課題である。
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