研究概要 |
本研究は,慢性疾患をもつ患者及び家族の退院後の生活に関わる継続的な看護活動の実態として,退院計画のプロセスや患者情報の伝達システム等を調査することによって,病院における退院計画の一翼を担っている看護婦の役割を明らかにしようとするものである。さらに,退院計画の指針となる退院時アセスメントツールの開発に向けた基礎的資料を得ることを目的とした。 平成10年度の研究は前年度に実施したパイロットスタディの結果に基づいて,2段階の調査を企画した。まず,退院計画の総合的な情報のひとつとして退院時要約に着目し,病院の看護職者が退院時要約をどのように活用しているのか,その実態と意識について調査を行った。この調査は,佐賀,長崎,福岡,3県内の100床以上を有する病院339施設から,外科系及び内科系病棟の看護婦長または主任看護婦を対象とした。郵送法による質問紙調査を実施した結果,236施設,406例(外科系148,内科系194,その他64)から回答を得た。退院時要約は,42%が患者全員について作成し,56%が必要時のみ作成していると回答した。一方,他機関から送付された退院時要約を受領したことがあるという回答は97%を示した。 次に,前記3県内に同病院と老人保健施設の看護管理職者に対して,退院計画に関する調査を予定した。これは,退院計画における重要な要素が病院・施設内の看護業務としてどのように実践されているのか,看護管理職者はどのような認識を抱いているかを中心とした実態調査である。この調査は5月初旬に実施し,7月末までに報告書としてまとめる予定である。
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