本研究の目的は、癌化学療法の副作用に及ぼす漸進的筋弛緩法(PMR)及び誘導イメージ法(GI)の効果と技法による効果の違いを明らかにすることである。研究にはプレテスト・ポストテストコントロールグループデザインを用いた。対象は某大学病院及びがん専門病院に入院し、がん化学療法を受ける患者60名であった。これらの対象者を漸進的筋弛緩法(PMR)、誘導イメージ(GI)、対照群のいずれか3グループに分けた。PMR群には漸進的筋弛緩法、GI群には誘導イメージ法、対照群には病棟で行われる化学療法の方針に従うよう指導した。また、調査者は一日1回対象者に会い指導を継続した。 データ収集には、日本語版Rhodes嘔気・嘔吐尺度と不安尺度(STAI)の2種類を用いた。 化学療法が開始される3〜7日前に、被験者全員に2尺度を用いてプレテストを行い、ポストテストは化学療法が開始される2時間前に実施した。嘔気・嘔吐に関しては、さらに、化学療法開始後12時間ごとに2日目まで4回測定した。 設定された4つの仮説検証には、繰り返し分散分析法とt-テストを用いた。2つの仮説は嘔気・嘔吐、不安それぞれに対するリラクセーション技法の効果、他は漸進的筋弛緩法(PMR)と誘導イメージ(GI)による効果の比較に関するものであった。 分析の結果、漸進的筋弛緩法及びイメージ法は、化学療法による嘔気・嘔吐得点を軽減させるのに効果的であったが、不安得点に関しては効果を示さなかった。また、漸進的筋弛緩法(PMR)及び誘導イメージ法(GI)効果の比較において、技法による違いは見られなかった。
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