平成11年度は平成9年度から10年度長野県で行った更年期女性の更年期症状実態調査のデータにさらに大阪地区更年期女性のデータを加え、更年期症状の特徴、更年期症状との関連要因、更年期の捉え方、また、メノポウズクラスのプログラムの検討を行った。 結果:1.更年期の特徴的症状として、因子分析を行った結果「気分変調」「知覚運動系不快症状」「内分泌系不快症状」「血管運動系不快症状」「自律神経系不快症状」「泌尿・生殖器系不快症状」の6因子が抽出され、累積寄与率は42.5%であった。因子毎の平均で一番高いのは頭痛、眩暈というような「自律神経系不快症状」の得点が一番高く、ついで気持ちがお落ちこみやすい、イライラするというような「気分変調」因子であった。それぞれの症状得点を長野と大阪で比較してみると閉経前期で2つの症状因子で有意差が認められたが、閉経周辺期、閉経後期では地域による有意差は認められなかった。また、心理的・社会的要因と更年期症状との相関では、各因子によって心理・社会的要因と関連のあるもの、身体的要因と関連のある因子があることがわかった。また、閉経段階によってもその特徴がみいだされた。2.更年期の捉え方の長野、大阪では、共通で認められるのは、更年期を無視、無感覚で捉えているもので、捉え方の違いでは、大阪は更年期をからだの変調や症状で捉えている一方、長野は更年期をどのように過ごすかという更年期への積極的な取り組み方で捉えていた。3.これらを踏まえてメノポウズクラスの内容の検討を行った。更年期周辺期にある女性は、思春期世代の子どもを持つことが多く、子どもらの発達課題を援助しつつ、自分自身の発達課題をクリアしなければならない。単に更年期の知識が与えられるような健康教育ではなく、女性自身の心とからだのエンパワーメントを高めるプログラムが効果的であることが仮説としてみいだされた。
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