平成9年度は、手術によりボディイメージの変化を余儀なくされた患者のQOLの構成概念を明らかにするために以下の調査を行った。 1.ボディイメージ及びQOLに関する文献検討を行い、以下の知見を得た。過去10年間のボディイメージに関する研究論文及び過去5年間のQOLに関する研究論文及び書籍(現在も収集中である)から、QOLの指標としては、情緒的機能、社会的機能、満足感(無力感)、あらゆる健康状態といったものの複合したものが必要であると考えられる。突然(手術による)のボディイメージの障害については、そのタイプは、ボディイメージ境界の障害、ボディイメージの離人化の障害、ボディイメージのコントロール障害、ボディイメージの自己尊重障害の4つが考えられる。 2.ボディイメージに変化を受ける手術を行った、退院後の患者7名に半構成質問紙による面接調査法で資料を収集した。ボディイメージの障害の4タイプには、各人のQOLの指標に関して共通するものと異なるものがあることが示唆されるが、対象者が少ないため平成10年度も調査を続行し、資料を収集していく予定である。 3.ボディイメージに変化を受ける手術を行った患者に対する看護において、看護婦がなにを重要であると考えるかを、224名の看護婦を対象に調査した。QOL指標の中で看護婦は主に身体面の健康状態に関する看護を重要と考え、実際に行っており、情緒的機能の面については重要と考えているが具体的方法にとまどっているという結果であった。 4.平成10年度以降は、手術によりボディイメージの変化を余儀なくされた患者への面接調査を続行し質問紙の内容を充実させ、QOLの構成概念を明らかにするために、術後在宅療養を行っていることが確認できている45名の患者と今後対象者を増やしてアンケート調査を行う予定である。
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