児童虐待への援助における保健婦の役割を明確化するために、虐待への援助経験をもつ経験年数10年以上の以上の保健婦に面接調査を実施した。 1. 調査方法 児童虐待への援助について、下記のような内容でインタービューを実施し、テープ録音を行った。 〈内容〉 ・ケースの概要(保健婦がケースをどのようにとらえているか、虐待の種類も含めて) ・虐待を疑った理由-対象とした親子(家族)のどのようなところがなぜ気になったのか ・虐待と判断した根拠、判断時困難だったこと ・家族に対する最初の援助内容、その援助を選択した理由、その援助を実践するときの保健婦の思い ・援助に対する家族の反応、その反応をどう解釈したか 2. 調査結果 インタービューの対象となった保健婦の年齢は平均47.3歳、保健婦としての経験年数は平均22.9年、インタビューの時間は一人当たり1時間から1時間半であった。 援助をおこなった対象の虐待の種類は、身体的虐待3、養育の放置(ネグレクト)7と保健婦の援助対象はネグレクトが多いという過去の調査結果と同じく後者の方が多かった。 インタービューの内容はすべてテープから書きおこしをおこないデータ化し、それらを援助に関して889のコードにした。その後以下の7つのカテゴリーにわけ、、それぞれにサブカテゴリーをつけ、保健婦の援助の内容をわかりやすく表現した。 ・母親への支援 ・子どもへの支援 ・家族への支援 ・近隣との関係をつかむ ・関係機関と連携する ・保健婦の直感をいかす ・同僚の支援を得る これらの分析を通して、保健婦の個別ケアへの援助能力が明確にさせるととも、個別だけでなく、地域や関係機関等に対しても幅広く活動を展開していることが示された。今後、さらに保健婦へのインタービューを重ね、分析を続けていくことにより保健婦の援助能力がより明確にされ、それを用いた虐待への保健婦の援助方法を確立していくことができると考えられる。
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