研究概要 |
本年度は,地域医療を支援する医療機関として期待される自治体立病院6施設の外来診療部門に勤務する看護婦を対象として,外来看護業務の実態分析と看護婦の相談業務に対する意識調査を実施し,看護婦による外来相談サービスの効果と医療サービス効率化に関する研究を行った。 外来看護業務の実態分析(240件)からは,看護婦は勤務時間の80パーセント近くを,外来診療の円滑化および補助に関する業務に費やしており,相談サービスに関連する業務を行っている時間は,わずか数パーセントに過ぎないことが明らかとなった。この背景には,各施設ともに外来診療が日中の限られた時間内に行われているため,受診者の集中が起こり,それへの対応として受診者の診療は,受付,診察,検査等は一連の流れではなく,寸断される形式で行われ,結果として一人の受診者に対して何人もの看護婦が対応せざるを得ないという現状がある。 看護婦の相談業務に対する意識調査(292件)からは,外来診療部門で勤務する看護婦は,看護婦による外来相談サービスの必要性に関して,かなり高く認識しており,この傾向は看護婦が受診者の医療サービスに対する情報不足を高く認識していることと関連していることが明らかとなった。また,相談サービスを実施する看護婦の能力を,相談サービス実施にあたっての学習の必要性および実施に対する不安の程度からみたところ,多くの看護婦が相談サービス実施に関する自分の能力を低く認識していることが明らかとなった。 今後はこの基礎研究をもとに,具体的な疾患をもつ外来受診者に対して,外来看護婦がどのような相談サービスを実施できるのかを,受診者への面接調査も含めながら研究していく予定である。
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