本年度は、医療への参加に関する家族の認識に焦点をあてて研究を進めた。平成9年度に作成した、医療への家族の参加についての看護者の認識に関する調査用紙を、さらに検討し、医療への参加についての家族の認識に関する調査用紙を作成した。作成した調査用紙を用いて、小児を対象とした入院病棟を有する6施設でデータ収集を行った。得られたデータは、SPSSを用いて分析を行った。データを分析した結果以下のことが明らかになった。 (1) 家族は、病気の子どもの精神的な支えとなり、入院生活を整えたり子どもに安楽をもたらしていると認識していた。しかし、生活リズムを整えるなど、日常生活を維持することはあまりできていないと認識していた。 (2) 家族は、子どもの身に起こっていることを掴んだり、治療の内容を把握しているが、医療者に率直に意見を言ったり、疑問点を確認することはあまりしていないと認識していた。 (3) 家族は、子どもの様子で気ずいたことは主体的に医師に知らせていると認識していた。 (4) 家族は、看護者に子どもについての情報や子どもの今後のことや、子どもの世話の仕方について話し合ったり、家族の意向や考えを看護者に伝えることは、あまりしていないと認識していた。 (5) 家族は、子どもが治療や検査を確実に受けることができるように、医療者に協力しながら子どもを精神的に支え、子どもの病状をモニタリングし医師に連絡していると認識していた。しかし、子どもが理解できるように、病気や療養行動について説明することは、あまりできていないと認識していた。
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