本研究は、医療への家族の参画を支援する看護を確立していくことを目的とし、入院中の子どもを抱えた家族の医療への参画に対する考え、家族が直面している困難な事柄、医療者に対する期待、 家族はどの程度医療に参画しいると捉えているのか、看護者が医療への家族の参画をどのように捉えているかについて、入院中の子どもの家族、および臨床経験5年以上の看護者を対象に調査を行った。量的データは、spssを用いて記述統計を用いて分析し、質的データについてはKJ法により分析した。主要な結果は、以下の通りであった。(1)約9割の家族が医療に参画することは必要であると考えている。(2)項目平均値を比較すると、状況を読み取る項目は2.86点で最も高く、次いで日常生活へケア行動の項目は2.78点、治療に関わる行動の項目は2.72点であり、交渉する項目は2.54点と最も低い値をしめした。(3)家族が直面している困難な事柄として、"家族一医療者との関係に関わる事柄" "医療者からの説明に関わる事柄" "家族の参画の妨げとなる事柄" "子どもへのダイレクトなケアに関わる事柄" "入院環境に関わる事柄" "家族システムに関わる事柄" "家族の心理面に関わる事柄" "家族看護に関する事柄"が抽出された。(4)家族は、看護者が専門職として能力を発揮し、子どものみならず家族に対してもケアを提供することを期待していた。(5)看護者は、家族は医療に中等度参画しており、状況を読みとり、日常生活へのケア行動や、治療に関わる行動を行っていると捉えていた。これらに比べて、看護者や医師との交渉は行っていないと捉えていた。また、看護者は、家族は、医療の中でパワーを有しているい医者に注目し、医師の特性を読みとり医師に添いながら参画すると捉えていた。今後は、これらの結果を吟味し、家族の医療への参画を支援することのできる介入論を開発していくことが課題であると言えよう。
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