研究分担者 |
片岡 弥恵子 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (70297068)
片桐 麻州美 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (80297069)
有森 直子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (90218975)
森 明子 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (60255958)
堀内 成子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (70157056)
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研究概要 |
本年度は,研究対象組織で進行中の,妊娠期から出産・育児期にある女性とその子どもを対象とした看護ケアシステムの変革の一部である,妊産婦クラスの変革の過程に焦点をあてて研究活動を実施した。妊産婦クラスの変革は,従来の集団指導型から相互的なコミュニケーションを主体とした少人数制・継続制・担当制のクラスへと段階的に移行したもので,この動きはケアの利用者である女性の意見を反映させながら実施されている。本研究はここで生じているエンパワーメントに着眼している。 1.ケアを利用する女性を対象としたデータ収集・分析 (1)質問紙法によるデータ収集と統計的分析:3つの群(変革開始前群,変革後第1段階群=少人数制・継続制群,変革後第2段階群=少人数制・継続制・担当制群)を対象とした。各群毎に「クラスの満足度」と「仲間づくりに対する意識」との関連を分析(ANOVAによる)した結果,変革後の2群において有意差が認められた(P=0.00001,P=0.00003)。また、各群毎の「出産の満足度」と「クラス担当者の存在」との関連については,変革後第2段階群において有意差が認められた(Welchの検定:P=0.0252)。以上から、ケアを利用する女性にとって仲間づくりができること,また継続してクラスを担当する看護職者が出産時に存在することが,クラスや出産の満足度に反映することが示唆された。 (2)面接法によるデータ収集と分析:現在進行中 2.看護職者を対象としたデータ収集(面接法による)・分析 新しいケアシステムを導入した過程で看護職者が力を育んだ体験の主軸として,「ケアシステムの導入による効果を実感する体験の積み重ね」「できなかったことができるようになる体験の積み重ね」「妊産婦が看護職者自身の存在を認めてくれるようになったという実感」が明らかになり,これらが「ケアシステムにおける妊産婦との関わりでの自分の役割を見出す」ことを支えていることが示唆された。
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