脳血管障害及び神経難病患者の在宅ケアにおけるケースマネジメントの最初のプロセスである対象ケースの発見とスクリーニングのための簡便な一方法を検討するために、大学病院を生存退院した脳血管障害及び難病患者を対象として、ケースミックス指標を開発した。指標は身体的日常生活同動作レベル(以下ADL)、年齢階級、国際疾病分類(ICD9)による疾病内容の3変数を用いたケースミックス指標(Case-Mix Index)である。 1. ADLはガットマンの階層的一次元性が確認され、障害される順位は全年齢階級でみると、衣服の着脱、入浴、歩行、排泄、日常会話、食事の順で障害されていた。 2. 1を年齢階級でみると60歳代では入浴動作と歩行動作の障害順位が逆転しており、70歳以上では歩行動作と排泄動作の障害順位が逆転していた。 3. ADLと疾患内容の違いをみると、脳血管障害では歩行が最も早く障害され、入浴、衣服の着脱と続くのに対し、難病患者では衣服の着脱、入浴、歩行の順であった。 4. 脳血管障害及び難病患者の双方とも、排泄動作と食事動作の障害は下位のレベルで障害される順位は同じであった。 5. 以上から、障害度が軽度の場合はADLに加えて年齢階級と疾患内容を併せた指標で検討することが、在宅ケアの対象者をスクリーニングし、さらに資源消費量を推定する上で重要であると考えられる。 6. 今後の方向として、上記疾患患者の在宅ケアにおける資源消費量を予測するために、開発したケースミックス指標を分類変数として、樹状解析(Tree-based Model)を用いて本指標の有用性を検討していきたいと考えている。
|