研究概要 |
1. 家族の看取り体験の受けとめ 老人大学受講生を対象に看取り経験の自由記述調査を実施し、56名より回答を得た。家族の思いは告知に関連が4割と最も多く、満足感、あきらめ、悔い、迷いが各1割あった。本人の受けとめは本意は分からないが4割、諦めていた、自覚していた、尋ねたが言わなかったが1割づつであった。看取りは十分した・もっとしたかったが各1割、世話したかったがどうしてよいか分からなかった、制限せずにすごさせたかった、ゆっくり療養させたかったが1割づつあった。印象的な世話は介護を工夫した、大変だった、一緒に散歩や話をした、身体を拭いたりスキンシップをしたなどであった。 2. 高齢者のターミナルケアへの家族参加状況の分析 高齢者が老人病院で死亡した25家族に郵送調査を実施し11名の回答が得られた。高齢者は男5名(79.0歳)、女6名(78.5歳)で、家族に死期が近いと伝えられたのは当日から3ヶ月前迄(平均1ヶ月前)であった。高齢者が家族に死亡場所の希望を伝えていたのは3名であった。家族が行った看取り:看取りの時期は家族を中心に面会頻度が増加し(8名)、その援助はそばにいて見守る,話しかける,身体をさする,水分や食べ物を与えるなどであった。したかった援助は家に帰らせたかった。そばに居たかった、ケアに参加したかった、苦痛を少なくしたかったなどで、死後の処置には3名が参加していた。看護婦から家族が受けた援助:看護婦から看取りの希望を聞かれたのは5名と半数で、家族が抱いた不安は亡くなること自体、病状悪化に関すること、高齢者の身体的・精神的苦痛、家族との別れ、看護内容などであった。看護婦からの援助は大半が適切と回答していたが、看取り段階での参加の確認は半数以下で、家族の病状悪化や死亡することへの不安も高く、家族参加型援助の必要性が示された。
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