研究概要 |
本研究では、本学の情報ネットワークシステムとテレビ会議システムを利用して地域看護、殊に在宅介護支援システムの開発を目的としている。平成9年度は、ディジタル回線INS64を利用したテレビ会議システムによって,在宅ケアを支援するシステムを開発し,評価実験を行った。このシステムにより,ケアスタッフが介護の知識や技術を必要としている在宅の介護者に直接に情報を伝えることができる。また遠隔操作で要介護者の顔の表情や肌の色を確認したり,マイクを通じて画面の顔を見ながら心配事などを聞くこともできる。要介護者に血圧や心電図などのモニターを装着し,計測器をシステムに接続することでデータの転送と保存ができる。本システムの啓発を目的に,島根県立看護短期大学と鳶巣公民館または川跡公民館を接続し評価実験をした結果,次のような成果が得られた。 1.このシステムの特徴は,複数の者同士がテレビを通じて双方向で対話できることにあり,したがってケアスタッフが介護の知識や技術を必要としている在宅の介護者に直接に情報を伝えることができる点にある。 2.本システムの啓発をするために,本学の鳶巣公民館または川跡公民館を接続し,看護の講習会を実施することにより評価実験をした結果,実用に向けて足がかりが得られた。 3.テレビ会議システム自体には,テレビの映像は速い動きに対応出来ない点,マイクのハウリングが大きいなど技術的な改良点がある。 4.本システムで要介護者と介護者のADLの改善やQOLの向上を目指すことが可能である。 今後は上記の成果を考慮して、実際に要介護者のいる家庭に設置して評価実験を行う予定である。このためには、要介護者と介護者が本システムを理解しておくことが必要であり,住民とケアスタッフのより良い信頼関係の上にシステムの運用が成り立つという要因は否定できない。今後,本システムが発展するためには,地域の医療機関や行政など多方面の人たちとの協力と連携が不可欠であると考えられる。
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