1)本研究では青少年及び肥満者やかくれ肥満者(BMIが正常でありながら体脂肪率が高い者)の血液性状や食生活習慣について調査し、それらの関連について検討した。さらに肥満者や隠れ肥満者に食生活や運動指導(歩行運動)を行い、体脂肪率の減少を図るためのプログラム開発を試みた。 2) 血清脂質や肝機能についてみると、高度肥満者(BMI=30以上)は対照者に比べ総コレステロ―ル、LDLは有意に高く、HDLは有意に低値を示し高指血症の症状が認められた。またGOTやGPTが高く、肝機能の異常の者が多いことが指摘された。かくれ肥満者は正常値内ではあるが、対照者に比べ総コレステロ―ル、LDLは有意に高く、また対照者に比べコリンエステラーゼが有意に高いことが認められた。 3)食生活習慣に関する調査では、対照者に比べ、肥満者やかくれ肥満者は朝食を抜く者が多いなど食事が不規則であること、また夜食をとる者が多く、肥満を助長させている傾向が認められた。栄養および食品摂取状況をみると、エネルギーやタンパク質摂取では対照者とかくれ肥満者にさほど相違はみられないが、食品群をみると、かくれ肥満者は緑黄色野菜の摂取量が有意に低いことが指摘された。 4)かくれ肥満者および肥満者に万歩計をつけ1日30分以上1万歩を目標に4週間歩行運動を指導した。改善した者と改善しなかった者の1日の歩数を比較すると、改善者は約11400歩に対し、非改善者は約7600歩であり、改善者が有意に多いことが認められた。また歩行運動による消費カロリーは改善者が約410カロリー、非改善者が約280カロリ-であり、有意に改善者の方が多く消費していた。1日30分以上続けて、かつ1万歩前後歩行していた者に体脂肪率の減少が認められた。
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