研究概要 |
洗濯時の水量は一般的に,布の重量を基準として決められ,これを「浴比」と定義している.一方,布は単位面積あたりの重量(面密度g/m^2)に差があり,汚れは布の表面に付着することが多く,汚れの量は表面積にある程度比例することが予想される. そこで,従来の浴比を「重量浴比」(布1kg:洗液量1L=1:1),布の表面積に対する水量の比を「表面積浴比」(布1m^2:洗液量1L=1:1)と定義し,面密度の異なる2種類のポリエステル白布(タフタ72g/m^2,モスリン147g/m^2)を用いて洗浄試験を行った.各洗浴に白布10^2cm^2を10枚,汚染布(5^2cm^2)を4枚入れ,表面積浴比1:2.6〜11,ターゴトメーターにて洗浄し,汚染布の表面反射率から洗浄効果を求めた. その結果,試料布100^2cm^2の最適表面積浴比は,それぞれタフタ1:9,モスリン1:7となり,布の面密度にあまり関係なく1:8 程度であることが判明した.面密度から重量浴比を換算すると,極大洗浄効率の得られる重量浴比は,タフタ,モスリンそれぞれ1:127,1:47となり,面密度の小さい軽い布では従来の浴比より水量を多くしたほうが良いことが明らかになった. 以上の結果から,洗浄性を重視して最適な使用水量を求めるためには「重量浴比」よりも「表面積浴比」を用いることが望ましいことがわかった. しかし,環境負荷,節水の観点からは必ずしも望ましい方向ではない.むしろこの結果は,洗浄性におよぼす負荷(力)の解析に役立つと考えられる.
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