研究概要 |
一般に洗剤濃度には適正値があり,それ以上使用しても効果が無いと言われているが,日本の洗剤の標準使用量では必ずしも満足いく洗浄性は得られない.そこで洗浄力を保ちつつ,節水と潜在使用量節減の点から,環境負荷を抑制し損傷劣化を抑えた洗浄方式を検討し,その普及の可能性を探ることとした. 1.洗剤の使用量,成分の検討 (1)市販の日本製(J)洗剤,スイス製(S)洗剤は,1)洗浄効率と洗剤濃度の関係では,いずれの洗剤も同傾向を示し,標準使用量を超えた3g/L以上で一定値が得られる.2)いずれの洗剤も40℃で最も洗浄性が高い. (2)ポリα-ヒドロキシアクリル酸ナトリウム(PHA)はアニオン界面活性剤と併用すると洗浄性に相乗効果を現し,単独でも0.8g/L以上で良好な洗浄性が得られる.また,微生物による溶存酸素消費量は分子量に依存する. 2.回転ドラム式洗濯機の洗浄力 回転ドラム式洗濯機では,浴濃度(1.5g/L)より対繊維量基準の方が洗剤所要量(9.2g/kg)が少ないが,しかしその場合、被洗物当たりの必要水量が多い.同程度の洗浄力が得られる場合,ドラム式の方が渦巻き式より布の痛みが少ない. 3.適正浴比の検討 洗浄性を重視し場合,「重量浴比」よりも「表面積浴比」を用いることが望ましい. 以上を総合すると,ある程度望ましい洗浄性を確保するためには現状より洗剤使用量を多くする必要があるが,環境負荷を考慮すると,洗濯回数を減らすなど生活習慣の変更で対処する必要があろう.使用水量を少量にして機械力の質で補うドラム式洗濯機の使用が今後期待される.
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