本研究では、市販オリーブ油の長期摂取による生体への影響を調べ、栄養評価を行うことを目的とした。1)平成9年度:実験動物には雄モルモットを用い、オリーブ油摂取に伴う成長を観察した。オリーブ群には精製オリーブ油と市販オリーブ油を1:1で毎回混合し、比較としてラード群、対照群には生理食塩水を与えた。飼育期間中にオリーブ群およびラード群では体毛より油成分の分泌が認められ、オリーブ群では対照群に比べ行動も鈍いことが観察された。体重増加は、飼育21日目のオリーブ群は対照群の約半分であり体重差は100gに達し、実験群12匹中2匹が死亡し他の動物にも衰弱がみられた。2)平成10年度:実験動物には雄ラットを用い、西欧型食生活を模倣して高脂肪・高コレステロール飼料で飼育した。コレステロール添加基本飼料に15%の割合で市販エキストラバージン油(EXO)およびピュアオリーブ油(PO)を混合し、対照群にはラードを与えた。4及び8週間飼育後の結果では、期間が長期になるに従い、EXO群およびPO群は羽毛からの油脂成分の分泌による背部羽毛の黄変が観察された。また、4週間飼育ではEXO群が対照群に比べて肝臓、血清中コレステロール値、特にコレステロールエステルは高かったが、PO群は対照群と顕著な違いは認められなかった。8週間では各脂質濃度の全体のレベルが高くなるものの3群間における差はなく、長期摂取は脂肪の種類の違いによる影響は少ないことが示された。以上のことから、高脂肪・高コレステロール飼料の8週間摂取においては脂肪の種類による影響は少ないが、EXOの4週間摂取では、肝臓、血清中のコレステロールエステル濃度を上昇させることが明らかとなり、今後、その栄養評価は継続して行われる必要のあることが示された。
|