研究概要 |
ショウガ、ナンキョウを試料とし、香辛料として調理加工に用いられる際の安定性、前駆体からの生成、活性成分の部位別含有量の比較検討等を行ない以下の結果を得た。 1) ショウガを4時間まで沸騰加熱した際のリノール酸に対する抗酸化活性の経時的変化をロダン鉄法、TBA法で調べた。4時間まで加熱してもショウガ抽出物はBHTに匹敵する強い抗酸化活性を示し、熱に安定であることが示された。主成分である(6)-、(8)-および(10)-ジンゲロールも安定であった。 2) コーン油、マグロ魚油に対するショウガの抗酸化活性を検討した。コーン油に対しては、油脂の50%のショウガを用いた場合POV値の上昇を抑えたが、魚油に対してはほとんど効果が認められなかった。すなわち、高度不飽和脂肪酸に対する活性はあまり強くないことが分かった。 3) 調理中に酵素的に活性成分となりうる活性成分前駆体を検索した。ジンジャージオールの2種のグルコシドを単離・構造決定した。また、ショウガの加水分解酵素活性について調べた結果、0.3unitの活性が認められ、酵素的生成の可能性が示唆された。配糖体およびアグリコンについて抗酸化活性およびDPPHラジカル捕捉能を調べた結果、アグリコンであるジンジャージオールおよびフェノール基を保持したグルコシドはジンゲロールと同様強い抗酸化活性およびラジカル捕捉能を有していた。 4) ナンキョウについて、活性成会である1′-アセトキシチャビコールアセテート(ACA)、分解物の1′-ヒドロキシチャビコールアセテート(HCA)、p-アセトキシシンナミルアルコール(p-AC)の芯、皮、芽、茎の部位別含量を調べた結果、ACAは一般に調理に用いる芯の部分に最も多く存在した。 5) ナンキョウを水系又は水-油系の中で加熱し、ACA,HCA、p-ACの動態を調べた。その結果、4%ラードを加えた水-油系で加熱した場合、かなりのACAがラードに溶解し、60分加熱しても安定であることが示された。
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