研究概要 |
【研究目的】本研究は,子どもの遊びを見守り,必要に応じて適切な援助をする大人(プレイリーダー)が常駐する遊び場を,都市の中にどのように組み込んでいけるのか,その可能性を探ることである。 【研究方法】上記目的のために,本年度は福岡市中央区において調査を実施した。調査は3つに大別できる:(1)事前ヒアリング・観察調査:調査対象地区の子どもの生活や遊びの様子を把握するために,福岡市立中央児童会館,市立警固小学校,警固小学校内留年家庭児童会(学童保育所)において聞き取り調査を実施した(平成9年7月,10月)。(2)福岡プレイスクールにおける調査:(財)プレイスクール協会が運営する福岡プレイスクールは,プレイリーダーが常駐する会員制の遊び施設で,会員小学生は週2回,様々な活動を行っている。ここでは小学生にたいする聞き取り調査と(同年10月),母親にたいする質問紙調査を行った(同年11月)。(3)警固小学校における調査:子どもたちの様子や遊び環境の評価を把握する目的で,保護者にたいする質問紙調査を実施した(同年12月)。 【結果】I・福岡プレイスクールにおける調査結果:工作,野外での冒険遊び,異年齢の子どもの集団遊びなど日常できない遊びに関する親の評価は高く,またこのような遊びを可能にするプレイリーダーの重要性が認識されていた。とくに福岡ではこの年,子どもを狙った犯罪が多発したため,大人が見守る安全な遊び場を求める意見が多くみられた。II.警固小学校における調査結果:都心であるため大半の子どもは集合住宅に居住している。放課後,子どもは住宅内で1人,または2〜3人の同年齢の友達とTVゲームをすることも多い。周辺道路の車の多さ,遊び場の不足など地域の遊び環境にたいする不満が強い。一方,保護者が安心な遊び場と感じている場所は,主に児童館,学校など大人の目が届く場所であった。校区内にある児童館の利用度は比較的高かったが,屋外遊び場や活動内容の充実などハード・ソフトの両面において改善を希望する声も強い。
|