研究概要 |
5種の糖アルコール(エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール)と2種の糖(グルコース、マルトース)を使用し,それぞれの糖を単独或いは2種をl:1混合してショ糖と置換したスポンジケーキを調製し、乳化剤の有無による違いを検討した。またケーキの性質を機械的方法(定速圧縮による物性測定)と感覚的方法(評点法による官能検査)によって比較検討した。結果は次の通りである。 1. 使用した脂肪酸エステルを約23%含有する乳化剤は、バッターの熱変性温度やケーキ焼成中の温度履歴にほとんど影響を与えなかった。 2. ケーキの圧縮かたさとケーキ比容積の間にはほとんど関連が見られなかった。これはスポンジ組織中の固形物部分の物理的性質が多様であることに依ると考えられた。 3. ショ糖ケーキの持つ物性は、圧縮かたさが比較的小さく、一方で凝集性が高いという特徴を示した。これに類似した物性が、グルコースやマルトースと、エリスリトールやマルチトールの組み合わせ、及びマルチトールを含む場合に見られた。 4. 感覚的かたさと圧縮かたさとの間には関連が見られなかったが、感覚的かたさと比容積の間には負の相関が見いだされた。また好ましさとケーキ比容積の間にも正の相関が見られ、膨化の良いケーキが好まれる傾向にあった。 5. 「ケーキとしての好ましさ」に対して比較的高い評価を得たケーキは、ほとんどが還元糖と糖アルコールの組み合わせであった。これには、焼成中に生じたアミノ・カルボニル反応による褐変と香りの発生が関与していると考えられた。一方ラクチトールを含むケーキは甘味の低さとしっとり感に欠けることで、評価の低い場合が多かった。
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