これまで各地域の後発酵茶の風味成分について明らかとしてきた。また、後発酵茶から多くの微生物を分離した。これら微生物を用いて風味成分(色・味・香り)ヘの影響を検討した。中でも茶成分のカテキン類に影響のあるPseudomonas cepasia(P.cepasia)について検討を行なった。分離したP.cepasiaは、後発酵茶製造工程中の桶つけから分離した。なかでも碁石茶(GOS3)・ラペソー(PBJ17)・ミヤン(ラオスB2TS2)に存在していた。P.cepasiaは、グラム陰性の桿菌であった。さらにこのP.cepasiaの性質についても検討した。結果タイプカルチャーと同様に分離したP.cepasiaの増殖曲線はS字状を示していた。100℃の熱処理においても分離したP.cepasiaは耐熱性が強いことが認められ、生育の至適pHもタイプカルチャーに比べてアルカリ領域でも生育することが認められた。モデル実験として後発酵茶製造の桶つけ時にP.cepasiaを添加したときの風味成分の変化については、カテキンの含有量が減少し、中でもエピガロカテキンガレートの減少が顕著であった。また、カテキンの酸化に大きく影響していると考えられる酵素について検討した。培養時にカテキシを添加した場合には、エピガロカテキンガレート等の減少することが認められた。また、P.cepasia培養液中にはカテキン分解能は存在せず菌体内に存在することが明らかとなった。菌体内からの酵素の抽出方法としては、フレンチプレスによる菌体破壊が有効であった。また、基質としてのカテキンはエピガロカテキンガレートが大きいことが認められた。今後は、カテキン分解酵素の精製を単一まで検討し、カテキン分解物の検索の必要性が明らかとなった。
|