生および調理後の野菜14種類のProsky法による食物繊維定量において、蛋白質、でんぷん酵素分解残渣中の窒素を測定し、それを蛋白質として差し引くか否かが食物繊維量にどのように影響するかを検討した。酵素分解残渣g当たり粗蛋白質は、可能性繊維ではごぼう、きゅうり以外は200〜500mg、不溶性繊維では50〜100mgであり、調理による変化は種類により増減し、一定した傾向は認められない。残渣より粗蛋白質を差し引くことによる繊維量の低下率は、殆どのものが可溶性繊維では20%以上、不溶性繊維では15%以下であった。しかし可溶性繊維では、ごぼうを除いて新鮮物中の繊維量が少ないため、蛋白質を差し引くか否かの変化量は僅かで、定量誤差の範囲内に入ってしまうが、不溶性繊維では、その変化量が多いものでは可溶性繊維量より多いものもある。また酵素分解残渣中の窒素の多い6種類の残渣中の純蛋白質に占める割合は、可溶性繊維では10%台で調理による変化も僅かであるが、不溶性繊維では30〜60%で調理により減少した。以上の結果から、野菜の場合、Prosky法による食物繊維定量において可溶性繊維では酵素分解渣中の窒素は大部分が非蛋白態と推測され、残渣から蛋白質を差し引く必要はないと考えられる。しかし不溶性繊維では酵素分解残渣中窒素のかなりの部分が純蛋白質であり、その量は種類や調理により異なることから、残渣から蛋白質を差し引くか否かの問題は更に検討する必要がある。市販ごぼうの食物繊維量は、食品成分表の1/2〜2/3と少ないものがあり、栽培の時期、品種、条件等により変動するようである。食物繊維給源としてごぼう、たけのこ添加食摂取時の食事誘発性熱産性量は、無添加食時よりも2〜4%増加した。この結果は食物繊維給源となる野菜摂取により食後のエネルギー消費量の増加することを示唆している。
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