後発酵茶の起源は、ミヤン、ラペソ-などに通じるものと考えられるが、その経路なども仏教伝来と比較考察しても不明のまま残されている。また、これらの後発酵茶はいずれも発展途上国に産するため、それらの疫学的、科学的研究は手つかずになっているが、その利用形態等を明らかにすることが必要であると考えられる。特に類似の茶が日本のみならず東南アジアにも存在し、一方ではそれを飲用の形で利用し、他方ではそれを食用としていることは、その文化的関係も含めて実態解明は重要なことであると考える。 後発酵茶はいずれも微生物が深く関わっており、その風味も酸臭を有するのが共通点でもあるところから、本研究においては、これら一連の後発酵茶の風味成分と微生物フローラを分析し、微生物の化学分類手法を応用して、そこから類似性と相違点を比較しながら後発酵茶および茶のルーツを明らかにする。さらに、これら茶類の化学成分を詳細に分析・比較し、その特徴を明らかにすると共に後発酵茶の製法および風味改善とその実用上の可能性を検討する。 東南アジア諸国に存在する微生物発酵茶と類似の碁石茶、阿波番茶は、日本の経済、社会の変化に伴い、急速に消滅の一途をたどっている。これら一連の後発酵茶が健康上に優れていることは、その歴史の証明しているところであり、各地域の予備的調査においても明らかとなっている。 本研究では日本に存在するこれらの試料を用いて、その遺伝子型・風味成分等を総合的に比較分析することを行っており、更に分離した微生物を用いてモデル的に後発酵茶を製造し、その結果を実際の製造に応用を試みた。今までの本研究の結果では茶を飲むだけでなく、食べることによってもより健康的な生活を営むための基礎的資料を提供しつつある。
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