1.各種タンパク質の収着等温線 食品添加用に用いられているグルテンや大豆タンパクなどのタンパク質粉末を塩類の飽和溶液で相対湿度を制御した小型デシケータ内で30℃に保存し、乾燥前後の質量の変化量から、タンパク質粉末の水分含量と水分活性の関係を示す収着等温線を作成した。その結果、タンパク質粉末の収着等温線の形状は、すべてシグモイド曲線を示し、Brunauer(1938)のタイプII型に相当していた。したがって、タンパク質粉末の水分収着等温線の形状には特別な挙動は認められず、さらに収着等温線を解析する必要性が示された。 2.収着等温線の解析 Brunauer Emmet and Teller(BET)の式など収着等温線を解析する式から算出されたパラメータおよび単分子層吸着水量をもとに、タンパク質粉末の水分収着等温線の解析を行った。タンパク質粉末の各解析式のパラメータの値を既存の食品の中で詳細なデータがある食物繊維のそれらと比較したところ、両者の値はよく一致していた。また、タンパク質粉末の単分子層吸着水量は、5〜10g/100g-乾燥物(BET式)、7〜10(Caurie式)、6〜8(GAB式)で、食物繊維粉末など他の食物のそれらとほとんど変わらなかった。このことから、タンパク質粉末に特徴的な水分収着特性は認められず、タンパク質の結合水量や不凍水量として報告されている文献値(18〜32g/100g-乾燥物)は、単分子層吸着水量の2〜6倍に相当していた。したがって、タンパク質の結合水量などに関する文献値は多重層吸着水に由来する水の量を含んでいる可能性が高いため、タンパク質と相互作用する水の用語を整理する必要があると考えられた。
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