キルティング布の外生地としては綿100%の織糸密度の大きい布地と粗い布地各1種とポリエステル100%の高密度織物1種の計3種を選択した。中綿にはポリエステル100%の不織布マットを用いた。試料は45×45cmのサイズで製作し、中綿の重ね枚数は1〜5枚、ステッチ線間隔は3cmおよび5cmの2段階とし、合計19種類のキルティング布を製作した。 ASTM法によるキルティング布の保温率は中綿の重ね枚数が増加し、ステッチ線間隔が大きくなるにしたがい増加した。カップ法による透湿率は保温率とは逆に、中綿枚数が増しステッチ線間隔が大きくなるにつれて低下した。保温率と透湿率に関しては、キルティング布の平均厚さを用いて整理できる。一方、キルティング布の通気量は、中綿枚数の増加およびステッチ線間隔の減少によって低下する。結果的にキルティング布の通気量は、中綿の圧縮状態の影響を大きく受けることが分かり、キルティング布の充填率により比較的きれいに整理できる。 キルティング布における外生地の違いの影響については、保温性は外生地の種類の影響はほとんど受けず、中綿の厚さや圧縮状態の影響が大きく表れる。透湿性と通気性については、外生地の影響を受けており、外生地の特性がキルティング布の特性に反映されることが分かった。 TH- PERMEABILITY TESTERで試験的に測定した保温率や透湿率の結果は、単独での保温性、透湿性の測定結果と傾向としては同様であったが、測定値にかなり大きなギャップを生じていた。また、布地の快適性を表すK値は、保温性と透湿性のバランスが整ったところで極大値を示す傾向がみられたが、詳細についてはさらに検討を加えたい。
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