ゴマリグナンによる生体内トコフェロール濃度上昇の機構解明に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09680043
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 椙山女学園大学
• 研究代表者: 山下 かなへ 椙山女学園大学, 生活科学部, 教授 (40080113)
• 研究分担者: 加賀谷 みえ子 椙山女学園大学, 生活学部, 助手 (10131145) ; 大澤 俊彦 名古屋大学, 農学部, 教授 (00115536)
• キーワード: ゴマ / セサミノール / α-トコフェロール / ラット

研究概要

ゴマまたはゴマリグナンによる生体内トコフェロール濃度上昇の機構解明に関する研究として次の3つの実験をおこなった。
1.ゴマまたはゴマリグナンによる生体内トコフェロール濃度の上昇の程度が各組織間で違いがあるかどうかを(1)ビタミンE欠飼料、(2)γ-Toc飼料、(3)20%ゴマ添加飼料、(4)低α-Toc飼料、(5)低α-Toc+20%ゴマ添加飼料で3週齢ラットを4週間飼育して、血漿、肝臓、腎臓、副臓、睾丸、心臓、肺、脂肪組織〈腎周囲、精巣上体〉を分離し、トコフェロール量を測定した。ゴマによりどの組織においてもトコフェロールの著しい上昇が観察されたが、特に腎臓において大きな効果が認められた。
2.市販固形飼料で飼育した250〜300gのラットにセサミノールを尾静脈より注入し、24と48時間後にラットを処理し、血漿、肝臓のトコフェロール量を測定した。血漿ではセサミノール投与24、48時間ともにα-トコフェロールの有意な上昇が見られたが、肝臓では上昇は認められなかった。
3.in vitro系の実験として、人血LDLを用いて、AAPHによる過酸化ラジカルの生成におけるα-トコフェロールとセサミノールの協力的抑制効果を過酸化脂質の生成量および残存α-トコフェロール量を測定することにより調べ、また、ビタミンCとα-トコフェロールの相乗効果と比較した。α-トコフェロール、セサミノールおよびビタミンCの単独での抗酸化力はα-トコフェロールとセサミノールは同程度に強く、ビタミンCは弱かった。この実験においてもビタミンCとα-トコフェロールの相乗効果およびビタミンCによるα-トコフェロールの再生が観察された。セサミノールでも同様の傾向は観察されたが、セサミノールの場合セサミノールそのものが積極的に脂質過酸化抑制に働いている可能性が認められた。

研究成果

• [文献書誌] 山下かなへ: "血漿・肝臓トコフェロール濃度と胆汁トコフェロール濃度" ビタミンE研究の進歩VIII. 35-39 (1998)
• [文献書誌] 飯塚佳恵: "α-トコフェロールを含むトコフェロール・トコトリエノール同族体混合物に対するゴマリグナン物質のビタミンE活性増強効果" 日本家政学会誌. 48・7. 575-581 (1997)
• [文献書誌] 飯塚佳恵: "トコフェロール同族体混合物に対するゴマリグナン物質の活性増強効果" ビタミンE研究の進歩VII. 63-69 (1997)
• [文献書誌] 飯塚佳恵: "ゴマリグナン物質のラット生体内α-トコフェロール濃度増強効果に対するリグナンの種類およびトコフェロール濃度の影響" 日本栄養・食糧学会誌. 49. 149-155 (1996)
• [文献書誌] K.Yamashita: "Sesame Seed and Its Ligens Produce Marked Enhancement of VitaminE Activity in Rats Fed a Low α-Tocopherol Diet" Lipids. 30. 1019-1028 (1995)
• [文献書誌] 今井具子: "生体内トコフェロール量に及ぼすゴマ投与の影響" 日本家政学会誌. 46. 627-633 (1995)
• [文献書誌] K.Yamashita: "Natural Antioxidants and Food Quality in Atherosclerosis and Cancer Prevention" The Royal Society of Chemistry, 4 (1996)
• [文献書誌] K.Yamashita: "Synergistic Effect of Sesame Lignans and Tocopherols" Food and Free Pradicals, 12 (1997)