研究概要 |
1.ビタミンC生成酵素(L-ガラクトノラクトンデヒドロゲナーゼ,EC1.3.2.3,GLDHase)遺伝子を導入した形質転換植物の作出と解析 サツマイモのGLDHase遺伝子をpBI121ベクターにセンス、アンチセンス方向に組み込んで、導入した形質転換タバコ植物(センス:4個体、アンチセンス:17個体)を選抜した。センス形質転換体3個体でGLDHaseタンパク質がオーバー発現(ウエスタンブロット法)されていた。次世代個体においてもGLDHaseタンパク質レベルは高くなっていた。センス、アンチセンス形質転換植物の葉片を切り取り、外部からL-ガラクトノラクトンを投与してアスコルビン酸の生成量を測定したが、原品種の変換量と変わらなかった。 2.L-グロノラクトンオキシダーゼ遺伝子をセンス方向に導入した形質転換トマトの解析 カナマイシン存在下で発芽した形質転換トマト種子は、播種したものの約75%であった。発芽した植物のうちグロノラクトンオキシダーゼ(GLO)遺伝子が確認できたものは58%であった。GLO遺伝子の組み込まれた11個体について、GLO活性、ビタミンC(VC)量を測定した結果、GLO活性が発現されたものは4個体であり、これらの個体では原品種(秋玉)よりVC含量が高くなった。メチルビオロゲンによる酸化ストレス抵抗性には、原品種と顕著な差異はみられなかったが、処理後6時間のVC残存量は形質転換体の方が原品種より多く、原品種の2倍であった。したがって、GLO遺伝子を導入した形質転換体ではVC量が多く、VCが著しく減少するような非常時に外来遺伝子産物の酵素(GLO)が有効に機能し、VCの生成に関与することが示唆された。
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