交通事故から身を守るために目立つ色、目立つ形を用いて誘目性の高いワッペンを設計しようとする研究であり、まず、誘目性の高い形を求めた。視覚評価実験とアイカメラによる眼球運動データ処理システムで実験を行った。刺激には小学校1年生に交通安全協会から配布されるワッペンを基準として面積を同一にした丸、三角、四角、長方形の形を方向を変えた形も入れて8種類(丸、三角、逆三角、四角、菱形、横長長方形、縦長長方形、u字型ワッペン形)を用い、配置をランダムに変えた8パネルを用いた。視覚評価実験は若者と高齢者を被験者とした。高齢者を被験者としたのは高齢ドライバーが増加しその視覚特性は視力や弁別能等が若者と異なるので、高齢者にとってどのような形、色がよく目立つのかを知るためである。また、照度の影響についても検討した。 視覚評価実験の結果、若者は明所視、薄明視とも三角、逆三角、丸の順に目立った。高齢者は明所視の場合は若者と同じく、三角、逆三角、丸の順であったが、薄明視では三角、丸、逆三角形の順となった。 アイカメラによる実験は22歳から65歳の被験者により、「自由観察」と「目立ち観察」の2実験を行った。視線の軌跡から注視点の移動の順番を点数化しどの形が最も得点が高いかをだした。個人差もあるが、平均でみると目立ち観察では三角、逆三角形が目立った。自由観察と目立ち観察の相関係数は平均で r=0.63 と相関が見られ、自由に見る場合も目立つ物に目がいくということが裏づけられ、目立つ形が見つけやすいことがわかった。
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