本研究は色の目立ちを用いて安全服を設計しようとする研究の一環で、アイカメラによる実験(実験1)、心理実験(実験2)、意識調査(実験3)の3つの実験からなっている。いずれも目立つ色と形を求めることを目的としている。 実験1 アイカメラによる実験 被験者が刺激を見たとき目立つものに視線が最初に行くという仮定で実験するもので、アイカメラによって視線軌跡を測定する。刺激は三角形、正方形、長方形、円、U形などの8種類である。被験者へのインストラクションは、「自由に見て下さい」(I-1)と「目立つものを探して下さい」(I-2)の2種類であI-1の結果、I-2の結果:三角形、逆三角形が他のパターンより目立つ。 実験2 心理評価実験 被験者に刺激を見せ、後ほど報告を受ける方法を採用した。ここではとくに高齢者と若齢者を比較したいので差が出やすいと予測される環境の照度レベルの影響の蜆点から実験を行った。照度レベルは明所視の3001x、薄明視の1lx、暗所視の0.2lxの3種類。 結果:若齢者、高齢者ともどの照度レベルでも正三角形が最も目立ち、ついで下向き三角形、円の順に目立ち、U形は最も目立たなかった。ただし、高齢者の中には0.21xは暗くて見えない(14%)、見えにくいが無理して実験をした(8.3%)があった。 実験3 意識調査 本研究結果を応用するには再帰性反射素材でワッペンをつくることが考えられるので、反射材に対する消費者意識を調査した。その結果:再帰性反射材の有効性を知っている人の割合は平均66.5%で高かった。再帰性反射材を身につけたい者は少なく、とくに若齢者は20%に留まった。高いのは高齢女性で34.6%が靴につけてもよいと答えた。概して再帰反射材を身につけるのに意欲的なのは女性の方であった。
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