研究概要 |
【目的】天然色素のアントシアニン色素(AN)は各種加工食品に着色する色素として需要が高まっており、実用面での安定性の面で改良が望まれている。今回の研究助成は野菜、果実中のANに及ぼす酢酸発酵の影響について検討した。 【方法】さつまいも、紫蘇、赤キャベツ、ぶどうおよび黒大豆から3%トリフロロ酢酸(TFA)で抽出した。濾過後ダイヤイオンHP-20カラムに吸着させ,洗浄後50%CH_3CN-1%TFAでANを溶出した。この各AN溶液をエーテルで沈殿,濾過を繰り返して各ANの粉末が得られた。これら各ANを純米酒(アルコール濃度6%)に添加し,Acetobacter pasteurianus NC11085の菌株を用いて60日間まで経日的に発酵させた。各ANの残存率は吸光度525nmで測定した。また色差計でハンター尺度のL,a,b値の測定,褐変度,pH,滴定酸度およびアルコール,酢酸の定量を行った。 【結果】酢酸発酵21日目で,エチルアルコールがほとんど酢酸に変化した。pH値は平均2.27,滴定酸度は平均4.64%であり,褐変度は発酵前とほとんど同じで変化がなかった。発酵21日目で特に黒大豆ANおよび紫蘇ANの吸光度が約3倍に,さつまいもANおよび赤キャベツANが2倍に増加した。ぶどうANは0.5倍で他のANに比較し吸光度の増加は少なかった。しかし60日を過ぎても各種ANは発酵前より高い吸光度を示した。 【今後の研究展開に関する計画】上記5種以外の野菜、果実中のANについても酢酸発酵を行い同様な実験を繰り返す。さらに高速液体クロマトグラフィー分析による酢酸発酵過程中の主ANピークの変化について詳細に検討を行う。
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