[目的]足部の生理機能からみた履心地の良い、快適靴のあり方を追求することを目的として方法に示す3つの実験を行った。 [方法]実験1:33℃、50%環境下において足幅部をインサイドベルトにより20・40gf/cm^2加圧及び開放時の足部皮膚温、血流量、心拍変動、主観評価の測定を行った。実験2: 6時間以上靴(ビーチサンダル・運動靴・ヒール靴)着用及び着脱における心拍変動の測定を行った:実験3:靴着用による汚れから生じる微生物汚れ(一般細菌増殖)を靴の形態、部位、着用日数の観点から観察した。 [結果]1.足部の圧迫・開放に関する実験結果:I)33℃環境下における足部皮膚温の加圧、開放による影響はみられなかった。2)趾先血流量は20gf/cm^2加圧時で減少、40gf/cm^2で増加傾向を示した。3)40gf/cm^2加圧時では交感神経の促進(LF/HFの増加)、開放時には副交感神経活動の促進(HF/LF+HFの増加)の傾向がみられた。4)圧迫感は20gf/cm^2に比べ40gf/cm^2時で強く、圧迫からの開放感が大であった。2.靴の着脱にともなう心拍変動の結果=1)6時間以上靴着用時と着脱時の心拍変動との間には有意な差が認められ、その差はヒール靴>ビーチサンダル>運動靴の順に大であり、ヒール靴着用により足部を圧迫することは自律神経活動に影響を与え、足部の疲労や緊張を生じることが明らかとなった。3.靴内微生物汚れに関する結果: 1)日常着用している靴内の一般細菌数は10^3〜10^5個/cm^2のオーダーにあり、女性より男性で多かった。2)継続着用日数が長くなると靴内細菌数は増加し、4日目以降から急激に増加の傾向がみられた。3)靴内微生物汚れは靴の部位と形態・素材によって異なり、足背部より蒸散量の多い足底部程、被覆面積が大きい程多かった。
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