研究概要 |
徳島県の高齢化は、日本の21世紀を先取りした形で進んでいる。そこでの高齢社会福祉への対策対応は、日本のそれに示唆を与えると考える。人間の幸せひいて高齢期の幸せを考える時、死ぬ迄元気で生き甲斐を感じ、自己実現を目指す生き状(ざま)こそが、それである。過去23年間の徳島県下50市町村の独居老人の孤独死および自殺死の実態調査から、高齢期の自殺は日本の平均では、男性が女性より多いが、徳島県は女性が多い。これは本県が、日本一女性社長が多く、女性起業家が青森県に次いで多い事と関係があるかもしれない。孤独死率が自殺死率に比べて伸び率が高いことに警鐘を鳴らしたい。特に1999年は男性の孤独死が、過去10年間には見られなかった高値で,女性の1.5倍に上る。この事は、老人が生きるに適当な食環境の獲得が、独居老人特に後期高齢男性には体力・気力の点で、自分だけでは不可能になっているからと考える。自己実現として、「自宅で死にたい」との面接聞き取り調査結果である。訪問員(保健婦やヘルパー)からの連絡等で、独居老人が衰弱したからと直ちに市町村の福祉関係者が、病院に入院手配をするやり方に、今しばし立ち留まり、生の極限迄、自宅での独居を守る人の最期を、本人の選択を最優先する手立てを考える心を持とう。1対1の愛情を、"地域ケア・ネットワーク"の中で育んでいく徳島らしい介護保険制度を創造する。孤独死が22年間(1977〜1998)ゼロの山間僻地の木沢村に学ぼう(但し1999年は1件)この村には1対1の人間関係を長い歴史の中で厳しい自然環境をカバーして余りある強靭な絆として構築して来た。21世紀の高齢社会福祉は、介護保険制度の欠点を補完しつつニーズに適したものに組み立てたい。心の痛みには、ある人は信仰、友人を当てる。都会生活に疲れた京阪神の老人に、1級河川が4本ある徳島県に水と緑と太陽清らかな空気と人情を求めて、終いの住処とする構想を提案する(独創性・問題意識)
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