本年度は、これまで収集、撮影した約2000点の写真試料などのうち、佐渡鉱山に関する図巻の一部を試行として200枚ほどコンピュータ入力した。図巻には、長さが30メートルに及ぶものがあり、大体1メートル程度の分割して写真撮影している。従ってその結合をコンピュータ上で行いながら、そのデータを元に画像データベースのフォーマットを検討中である。 また、鉱山絵図資料の内容検討はこれまでほとんど行われておらず、各図巻や絵図はその成立年代すら明らかになっていないのが現状である。図巻絵図中の内容を検討するために、佐渡鉱山及び各鉱山のこれまでの研究成果や出版されている文書や文献資料などの収集を行っている。文書等にないものが絵図中には多いため、文書や文献だけでなく、実物資料などとの照合も今後行う予定である。 さらに島根県太田市大森町の石見銀山および、愛媛県新居浜市の別子銅山、新潟県の佐渡鉱山などについて調査や資料所在の確認などを行い、新たな資料について写真複写などを行った。石見銀山では、近年の発掘で精錬用の鉄鍋等が出土しており、文献や絵図では未だ確認できていない資料なども発見され、今後の検討が必要である。佐渡鉱山でも、代官所跡の発掘で当時の精錬用鉛が出土し、その検討を地元と協力して行っている。 まだ未調査の小規模鉱山が各地に多く存在し、研究者や地元関係者らから、主として絵図類の所在情報を収集している。
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