本年度の研究目的は、持久性運動後に低下した筋グリコーゲンの回復について、炭水化物摂取タイミングの栄養効果をヒトで明らかにすることに加えて、もっと簡便にその効果を知ることのできる方法の開発にある.すなわち、夕方の練習で低下した筋グリコーゲンを翌朝の早朝練習の前までに充分回復させた場合に、筋サンプルを採らない方法、すなわち血中のエネルギー物質の動態から推定できないかを検討した. 健康な成人男子を用いて、1週間の間隔をとって2回、2日間づづの実験日を設けた.いずれの実験でも第一日の夕方に10キロメートルを負荷し、その直後にウェイトトレーニングを負荷する.その後に、調製した夕食を運動負荷終了後30分以内と、2時間後の場合の2つに分けて実験を行った.いずれの実験でも一夜安静に休養させた後の翌朝の朝食前に血液を採取した.その結果、運動直後に夕食をとると翌朝の血中遊離脂肪酸の濃度が高く、逆に血糖濃度が低い傾向があることがわかった. そこで、次ぎに先と同じ運動負荷条件を用いて、いずれも運動2時間後に夕食をとる条件下に、運動直後に高糖質の補食をとることが、とらない場合に比べて、翌朝の血中遊離脂肪酸の濃度を高く、逆に血糖が低くすることをさらに促進するか否かについて検討した.その結果、運動直後に高糖質の補食をとると翌朝の血中遊離脂肪酸の濃度が高くなったが、一方血糖の濃度には差がなかった.
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