18〜20歳の大学新入生女子94名を対象に身体計測及び身体組成の測定を行い、現代の若い女性で問題となっている隠れ肥満、すなわち身長と体重で計算される体格指数(BMI)では普通もしくはやせと判定されるが、体脂肪率(%fat)が多い(筋・骨量が少ない)タイプがとの程度存在するかを調査した。併せて身体機能についても体力測定を実施して評価した。体脂肪率は高い精度で全身の身体密度を求めることのできる空気置換法により推定した。体力は脚伸展パワーとPWC_<75%HRmax>をそれぞれ無酸素パワーと有酸素パワーの指標として測定した。その結果、BMIが24未満(正常あるいはやせ)でありながら%fatが30%以上を示した者が7名、27〜30%の肥満気味の者が13名存在し、全体の21.3%が隠れ肥満傾向にあると考えられた。これにBMIが24以上(肥満傾向)で%fatも27%以上の者を含めると合計29名となり、3割の学生が身体組成の改善を必要とすると考えられた。そして%fatと脚伸展パワーとの間に有意な負の相関が認められ、筋量が相対的に少ない者は発揮パワーも劣ることが確認された。肥満気味の者のうち22名(F群)について超音波Bモード法により身体8部位の皮下脂肪厚と筋厚を測定したところ、腹部、大腿前部、下腿前部の脂肪厚が%fatと有意な相関を示した。また、他大学の同年代一般女子(C群)について調査された値と比較すると、F群は脂肪厚、筋厚ともほとんどの部位で有意に高値を示し体格自体が大きいと推察されたが、下腿後部と腹部の筋厚には両群間の差はなかった。身体組成の改善が望まれる者に対しマシンと自転車を使った運動プログラムを処方したが、3ヶ月後の再測定では身体組成の改善効果は認められなかった。これは十分なトレーニング量を確保できた者が少なかったことと食事のコントロールがされなかったことによると考えられた。次年度は栄養と運動の量の明確に評価・設定して追跡調査する予定である。
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