伸長と体重をもとに計算される体格指数(BMI)では「普通」もしくは「やせ」と判定されながら体脂肪率(%fat)が高い、いわゆる'隠れ肥満'と呼ばれるタイプが現代の若い女性に増えていると指摘されるが、実際どの程度洗剤しているのかを明らかにするために、1997〜1999年の3年間に渡って、本学に入学した18〜22歳の女子全員(合計284名)を対象に体格、身体組成ならびに体力の測定調査を行った。身体組成は、空気置換法による高精度の体脂肪測定装置を用いて評価した。その結果、身体組成の改善を必要とする者が全体の約3割を占め、そのうちの8割が隠れ肥満タイプであることが判明した。体力については、有酸素パワー(PWC_<75%HRmax>)より無酸素パワー(脚伸展パワー)の成績の劣る者の割合が高く、全体の4割にのぼった。そして、%fatと脚伸展パワーとの間には有意な負の相関関係が認められた。次に、週1回の運動習慣を有すること(体育実技への参加)による体格・身体組成・体力の変化を縦断的に調べたところ、半年後に無酸素パワーの有意な向上がみられ、更に続けて1年間運動習慣を継続した群では無酸素・有酸素ぱわーともに有意に向上したが、資質を過剰摂取している食習慣の影響のためか身体組成の改善はみられなかった。しかし、無酸素運動(筋力マシントレーニング)と有酸素運動(自転車こぎ)を組み合わせたトレーニングを週1回以上12週間自主的に実施することにより、体力だけでなく身体組成及び血液性状にも改善効果が認められた。更に、運動実施内容の異なる群に分けてトレーニング効果の違いを検討したところ、定期的な運動実践が身体組成やパワーの改善に有効であることは再確認されたが、実施種目の差によるトレーニング効果の違いについては明確な結論は得られなかった。3年間の継続研究により、現代の若い女性の隠れ肥満度が明らかとなり、その改善のための運動量の目安を知ることができた。
|