小動物用トレッドミルを用いウィスター系ラットに走行トレーニングを約8週間行わせた。トレーニング強度は徐々に増加させ、最終的には25m/min90分の走行トレーニングであった。最終トレーニング終了後、臓器を摘出し、受容体結合実験に用いた。また、一部は細胞内2次情報伝達物質の測定、ホルモンまたグルコース放出実験に用いた。 初年度は粗細胞膜を調整し、実験を行ったが一部十分な結果を得るに至らなかった。2年目は遊離細胞を調整するなどし実験を行い以下のような結果を得た。 SHRを用いても同様の実験を行ったが、十分な実験例数が得られなかった。実験の結果、次のことが分かった。 1) トレーニングを行っても安静時の血圧に変化はなかった。 2) 腎臓のAVP受容体数、親和性には変化が見られなかったが、V1受容体刺激により合成されると考えられるIP_3量はトレーニングで有意に低下した。 3) アンジオテンシンIIによって放出される副腎のアルドステロン量はトレーニングによって減少した。 4) 肝臓のエンドセリンA受容体の親和性はトレーニングにより増加した。 5) エンドセリン刺激による遊離肝細胞からのグルコース放出量はトレーニングによって低下した。 以上のことから血管作動性ペプチドの作用がトレーニングによって修飾されることが分かった。
|