初年度は、応用的なフィールド研究を実施する前段階として基礎的な資料を収集する目的で、主に2つの観点での実験的な試みを実施した。ひとつは、WWW上でできるメンタルマネジメントを目的としたスポーツ競技における心理的トラブルの診断およびその結果に基づいた処方であった。石井作成(1991)の心理的トラブルを測る尺度を再検討し、30項目6因子の尺度を再構成した。その尺度をWWW上でスポーツ選手に回答させた結果が画面上に5段階レーダーチャート、5段階評定値、T得点が示され、さらには処方が示されるというものである。これについては、ソフトテニス選手に実際に試みてもらい、自己分析-診断-基本的な処方の内容についていくつかの改良点が指摘され、メンタルマネジメントの一環として有効に利用できるように今後検討し、改良していくこととした。 もうひとつは、テニスにおけるサービス技術をとりあげて、練習と試合を実験的に設定し、心理的ストレスが生理的指標としての心拍数、またサービスのパフォーマンスにどのように影響するかについての基礎的な資料を得ることを目的で実験を行った。その結果、個人差はあるものの練習設定よりも試合設定の方が平均15拍/分ほど高く現われた。この点についても実際の緊張した試合場面で測定できる方法論を検討していくことにした。 今回は、基礎的なものを中心に資料を収集したが、次年度はフィールドを用いた検査、実験、測定を大規模に行う予定である。
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