研究概要 |
本研究は、スポーツ選手のメンタルトレーニングに、新しい技法である脳波を用いたバイオフィードバックトレーニングを取り入れ、より効果的なトレーニング技法の開発に取り組むものである。対象者は全日本トランポリン大会9連覇を果たし1997年世界年齢別大会18才以上の部で優勝した古章子選手である。 1997・1998年の2年間は、国際大会,全日本選手権で優勝することに焦点を当て、トレーニングスケジュールを立ててきた。先ず、メンタルトレーニングの基礎的研究として、選手の自己分析,目標設定,クラスター分析を行った。次に、メンタルトレーニングの基本的技法であるリラクセーションを獲得するために、脳波バイオフィードバックトレーニングを行った。その結果、以下の知見を得ている。 1) PPI(The Psychological Performance Inventory)、DIPCA2.(Diagnostic Inventory of Psychological Competitive Ability2)の心理検査結果からメンタルトレーニングの効果が見られ、これらの検査は選手の心理的スキルからみた競技能力を把握する上で有効であることが示唆された。 2) メンタルトレーニングの効果をコンディショニングという点から考察したところ、メンタルトレーニングの効果が見られた。これはPOMSテストと競技成績との相関が高いことからも推察された。 3) 脳電図によるバイオフィードバックトレーニングを行ったが、周波数帯域ごとの優勢脳波出現時間を比較すると、β波が最も多く、次いでα_2波が多く出現した。 今後はメンタルトレーニングプログラムを再検討すると共に、脳電図によるバイオフィードバックトレーニングをトランポリン競技,バスケットボール競技選手に実施し、より詳細な検討を加えながら研究資料を取りまとめ、論文発表を行なう予定である。
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