今年度の本研究の目的は、依然増加し続けるわが国におけるスノーボード事故について、リスクマネジメントの要素を取り入れた事故防止対策を検討することである。98/99シーズンのスキー場での死亡事故は、スキーヤー13人、スノーボーダー11人が死亡した実態が判った。スキーヤーでは50歳以上の死者が6人で年齢層が高いことが特徴であり、スノーボーダーではこれまで初心者が多かった情況から中上級者の死者がほとんどを占める情況で、禁止されたコースへ入り雪崩や遭難という事故が増えたことが特徴である。自己責任の認識の方法等に関する課題が示されたと言えよう。いわゆる管理区域外を滑走する場合は事前に注意事項を読ませて理解したことを示す確認書(「危険事項を十分に理解している旨を証明する署名入り書類」)で滑走者自身の責任とするリスクマネジメントの方法が提案できよう。確認書により自己責任の自覚を高める効果があることは、大学体育集中スキー授業における調査で明らかにすることができた。また正しく手続きを踏んだ上で作成された同意書であるならば法的にも有効であると考えられるとの学会の指示も得られたことから導入すべきであるとの判断に至った。法的責任を回避する目的で作成する免責同意書は事故の責任をより自覚させることができることから、今後、管理区域外の滑降を認めるためには、導入していくことが有効と考えられる。リスクマネジメントの必要性の所以となるところである。管理されたスキー場内を滑走するスノーボーダーに対しても、安全について認識すべき事項を明示していくことで効果をあげられるのではないか考えることに至っている。また、女性スノーボーダーが転倒し重症となった事故では、北海道地方検察庁より刑事事件との関係で日本スノーボード協会に鑑定の依頼があった事故などあらたにスノーボードに関連する事故事例も収集できた。
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