本研究では、生後20週齢、50週齢および100週齢のWistar系雄ラット(各週齢とも対照群が5匹、運動群が10匹)を用いて、加齢にともなう骨格筋線雑の萎縮と運動の影響を検討した。 運動には自発走が可能であり負荷を加えることができる回転車輪(KI-101)を用いた。毎日の運動量をデータ収集解析装置(KI-102)によりモニターして、運動量に相応して運動強度(負荷)を増減させた。運動は各週齢とも20週間行った。各週齢の各群から足底筋とヒラメ筋を摘出して、連続横断切片を作成して、免疫組織化学的染色を施した。筋線維をタイプ分類して、タイプごとの横断面積を測定した。 生後70週齢では速筋線維の萎縮、120週齢では速筋線維および遅筋線雑の萎縮が認められた。生後50週齢から20週間の走運動を行ったところ、高強度の負荷で運動した動物ほど速筋線維の萎縮が抑制された。一方、生後100週齢から20週間の走運動を行った動物では、運動量や運動強度に関係なく筋線維の萎縮は抑制できなかった。 以上のことより、老齢初期にみられる速筋線維の萎縮は高い強度の運動で抑制できること、一方、老化後期にみられる筋線維の萎縮は運動によって抑制することは離しいと結論される。老齢初期から後期にかけて予備能力が減少するが、それに相応して運動の効果が減少していくものと推察される。
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