本年度の研究計画では、アメリカの体育・スポーツにかかわる紛争及び訴訟のうち、スポーツ参加に関する事例、とりわけ近年の男女の平等に関わる事例を検討することであった。資料として、スポーツ法雑誌及びロー・スクール論文集、体育・スポーツの判例雑誌などを中心に収集、検討した。 以下にその概要を述べる。 体育・スポーツの男女の平等機会については、従来、合衆国憲法第14修正がその法的根拠として利用されていたが、それに加えて1970年代の後半から教育修正法のTitlcIXが大きな影響を及ぼしている。女子の参加を要求する場合、それらは接触のあるスポーツか否か、男女のチームがあるかなどが重要な点となる。とくにTitlcIXを根拠とするものは大学の女子競技の不平等(待遇、ルール、奨学金、予算)に関する事例が多く、判断は概ね女性側の主張が認められている。80年代になってからは、TitlcIXの適用範囲が争点となった時期があり、その効力が縮小される判決もあったが、80年代後半に新たな市民権法によって再び、根拠法として機能している。たとえば、同様の機会についての解釈で、中等学校男子の野球と女子のソフトボールを比べて、自動的な男女の区別はふさわしくないといった判断がなされている。
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