研究概要 |
本年度は,ボディコンタクトの有無における精神生理学的検討を行った.対象は大学生と中学生である.いずれも一人で行うボディワークと2人で身体接触中心のボディワークを行った場合の,心拍(拍数,R-R間隔変動係数),呼吸数,そして大学生のみ脳波の測定をおこなった.また,心療内科における摂食障害患者(過食症)のグループ療法におけるボディワークの試みについても検討した. (1)大学生では,ボディワークによって自律神経系の反応が副交感神経優位の状態へとシフトし,心身のリラックス状態にあることが示唆された.また,脳波の結果からも,α波帯域のピーク周波数はボディワーク後に低下したが,このことからボディワークによる中枢神経活動の鎮静化が推測された.なお,ボディコンタクトのあるワークではα1波が増大する部位か多く認められ,このことから精神活動の一層の平穏化が示唆された. (2)中学生でもボディワークによって緊張感の減少が認められ,ボディコンタクトの有る場合に心身のリラツクス感が得られていることが示された.同時に中学生ではボディワークのない場合にも副交感神経活動の昂進がみとめられ,一人ワークでも快い状態が得られていることが示された. (3)過食症のグループ療法におけるボディワークの効果について 摂食障害患者は体型に強い関心は示すものの,身体感覚に乏しいといわれる.ボディワークにより,自分のことを大切に感じ優しく受け入れようとする気持ちが高まり,周りの人に親密感を持ち,コミュニケーションが楽になる傾向が強く認められた.
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