研究概要 |
本研究は肥満度の決定における骨格筋の筋線維特性の重要性を調べることを目的としている.本年度は,実験動物としてラットを用い,身体トレーニングに伴う脂肪重量,安静時代謝および骨格筋の代謝特性の変化を調べることにより,身体トレーニングは骨格筋の脂肪分解能力を高めるため,肥満しにくい体質を作るために有効との仮説を検証しようとした. 実験開始時に,8週齢のウィスター系雄性ラット13匹を,コントロール群7匹とトレーニング群6匹に分けた.両群は平均体重がほぼ等しくなるようにした.トレーニング群は回転ケージのついた飼育ケージで,コントロール群は回転ケージのない飼育ケージで,35日間それぞれ1匹ずつ飼育した.両群とも水道水と市販のラット用飼料を自由に摂取できるようにした.実験終了の2日あるいは3日前に安静時代謝量を測定した.実験終了時に,血清および骨格筋を摂取し,測定に供した. 実験終了時の大衆は両群間に有意な差が認められなかった.しかし,トレーニング群はコントロール群に比し,有意に副睾丸脂肪重量と腹膜後方脂肪重量が小さかった.また,血清グルコース値と血清トリグリセリド値はトレーニング群が有意に低かった.これらの所見は,ラットにおいては自発運動が肥満の抑制に効果があることを示す. コントロール群による脂肪蓄積の抑制は,全身レベルにおける安静時代謝量の上昇を伴っていなかった.また,脂肪燃焼の指標となる呼吸交換比の低下も伴っていなかった.一方,骨格筋レベルにおける脂肪分解能の変化を伴うか否かは,現在分析中である.
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