研究概要 |
長崎県壱岐地区の中学生を対象に(1)活動性に関するライフスタイル,(2)体力運動能力,(3)身体的健康度(最大酸素摂取量)および(4)体育実技能を調査・測定した。壱岐地区は,スポーツ活動に対して積極的な取組みがなされている。本研究は,都市部との比較と合わせて活動性の高い地区との比較を行ったものである。ここには,同地区内での(1),(2),(3),(4)の相互の関連性からその影響を検討した。その結果は,以下の通りである。 1.本被験者の体力運動能力および最大酸素摂取量は,全国標準値に比較しても高いレベルにあった。 2.男子は,ライフスタイルに対して体育実技能,体力診断テストおよび運動能力テストが有意な相関があり,最大酸素摂取量と肥満度,体育実技能に対して体力診断テスト及び運動能力テストが有意な相関があった。 3.女子は,ライフスタイルに対して最大酸素摂取量および運動能力テストが有意な相関があり,最大酸素摂取量と肥満度,体育実技能と運動能力テストおよび体力診断テストと運動能力テストの間に有意な相関があった。 以上の結果,壱岐地区の中学生に関して,男子は,体力運動能力や体育実技等の運動実践能力の高低は,日常生活の活動量に関連しており,活動的な本被験者にあっても日常生活の活動性が体力運動能力や体育実践能力に影響を与えている。 女子は,日常生活の活動性が身体的健康度に直接的に関連しており,体力運動能力や体育実践能力にも間接的には少なからず影響を与えている。 体育実技能が,体力運動能力に与える影響は大きく,スポーツや体育の実践能力を高めることが潜在的身体能力やその発現能力を高めることに繋がるといえる。 本研究者の先行研究と同様にライフスタイル,身体的健康度,体育実技能及び体力運動能力は,そのいずれかの要因が起点になり,それぞれが相互に循環的に関連しているものといえる。児童生徒の身体に対して学校,家庭,社会が構造的に連携して責任を果たす必要がある。さらに,年齢や地域を拡大して明確な結論を得たい。
|