研究概要 |
本研究は平成9年度より長崎県下の中学2年生を対象に(1)活動性に関するライフスタイル,(2)体力運動能力,(3)最大酸素摂量(活動的健康度)および(4)体育実技能を調査・測定してきた。平成10年度は,長崎市内の公立中学校(都市部)を対象に調査・測定し,平成9年度の壱岐地区の中学校(離島部)と比較し,ライフスタイルの差異の有無と各指標間の関連性を検討するする予定である。 平成10年度の結果には,以下の通りである。 1. 都市部の中学生は,男女各々63〜69%がスポーツ系のクラブ所属している。そのライフスタイルの特徴は,帰宅後のテレビ視聴時間が3.5及び3.3時間で,塾・習いごとの回数及び学習時間が男子より女子が多い点である。 2. 本対象者の形態的な面は,全国平均値と同等のレベルにあり,最大酸素摂取量も48.3ml/kg及び39.6ml/kgで同レベルであった。 3. 体力運動能力は,男女とも伏臥上体そらしが,全国及び県全体より有意に低値であった。しかし,女子の背筋力,踏み台昇降運動,斜懸垂および運動能力の合計点は,高いレベルにあった。男子は,体力診断テスト及び運動能力テストともに低いレベルにあった。 4. 男子は,ライフスタイル(活動性得点)とVO_2max,運動能力及び体育実技能とが密接な相関があり,肥満度は,すべてに相関がなかった。また,体育実技能と体力及び運動能力も密接な関係にあった。 5. 女子は,VO_2maxと体育実技能との関連以外の全ての項目の組み合わせ有意な相関がみられた。また,肥満度とは,全ての項目で有意な相関が見られた。 男女ともにライフスタイルの活動性と体力運動能及び体育実技能の関連が高いといえる。その結果としてVO_2max(活動的健康度)に影響を与えていると示唆された。また,女子では肥満度が活動の量や質と関連を持つことも明らかになった。
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