研究概要 |
1、 遅筋(SOL)と速筋(EDL)のNa-Kポンプに及ぼすトレーニングの効果を調べるために、トレーニングラットと非トレーニングラットの筋を電気刺激により収縮させ、筋細胞内にNa^+の蓄積とK^+の減少を起こさせ、その程度と刺激終了後の回復過程について比較した。 2、 ラットのトレーニングは傾斜角3度で12m/分のトレッドミル走を、1日30分、週3回、6週間行なった。筋収縮のための電気刺激は坐骨神経を25Hzで30分間行ない、刺激終了直後、10分後及び20分後の細胞内Na^+,K^+濃度を測定した。 3、 トレーニングラットと非トレーニングラットのall-out時の仕事量はそれぞれ8.4±0.6、4.1±0.5kg.mであった。乳酸閾値はトレーニングにより有意に増加した。 4、 刺激終了直後の細胞内Na^+の蓄積とK^+の減少の程度は、SOLではトレーニングラットの方が非トレーニングラットより有意に小さかった。EDLでも同じ傾向がみられたが有意な差ではなかった。 5、 これらの結果は、骨格筋の(Na,K)ATPase(すなわちNa-Kポンプ)がトレーニングによって増加するということに起因していると考えられる。また、血漿K^+濃度の増加は心筋の興奮・収縮性に悪影響を及ぼすがトレーニングによって運動中の血漿K^+濃度の上昇が抑制されるのは、トレーニングラットのSOLで見られるように筋内からのK^+の流出が抑えられることによると考えられる。
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