本報告では、a.低K血症ラットおよび糖尿病ラットの下肢骨格筋のNa-Kポンプに及ぼす持久性トレーニングの効果、b.疲労筋および低K血症筋における誘発筋電図の周波数応答について調べた。ラットの持久性トレーニングは、3回/週、30分/回、6週間のトレッドミル走で行なった。低K血症-Trainingラットの血漿K^+濃度は低K血症ラットのそれより有意に高く維持された。走運動に重要な心筋、横隔膜、EDLおよびSOLの筋内K^+濃度も低K血症-Trainingラットの方が高く維持された。 トレーニングしたラットとしないラットの坐骨神経を電気刺激し、EDLおよびSOLの筋内のK^+濃度を減少させた。その減少の程度は正常ラットでも糖尿病ラットでもトレーニング筋の方が非トレーニング筋より小さかった。これらの結果は、トレーニングによって賦活したNa-Kポンプが筋内へのK^+貯蔵を増加させ、低K血症ラットの血漿K^+の体外への排出を防ぐことを示唆している。 ラットの坐骨神経を0.5Hzから200Hzで刺激し、EDLおよびSOLの誘発筋電図を記録し、周波数応答について調べた。正常ラットSOLとEDLの周波数応答の変異点(刺激に反応できなくて活動電位の減衰が起きる周波数)はそれぞれ15Hzおよび85Hzであった。低カリウム血症ラットのそれはそれぞれ5Hzおよび15Hzに減少し、周波数応答が、神経一筋の病態評価の指標となる可能性を示唆した。
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