水泳中の呼吸に関する諸機能を客観的に測定することができれば、指導法を確立する上で大きな根拠を得ることになる。呼吸機能を評価する際には、換気量、流量や流速を口腔において評価するが、水泳では陸上運動と異なり、水中でマウスピースや呼気採集マスクが使用しにくい。本研究では、手がかりとして、定量的な測定は不可能であるが、圧センサを用いることで呼吸の実態把握を試みた。 今回購入の圧力トランスデューサを用いて、水中における呼気圧を水圧と検定することができ、さらに、6名のボランティアによる協力を得て、その信頼性が確立された。水中での鼻腔における圧調節の実態を、スイムミルを利用して把握することができた。また、圧センサの口腔内への固定を考えて、歯科治療用のコンパウンドを試行してみたが、安静時においては安定しているものの、水泳中においてはやや信頼性に欠けることが判明した。口腔内のどこへセンサーを固定するかが今後の課題となる。さらにスイムミルを利用して、泳者の正面より平泳ぎで水泳中の観察も行なった。これによって、口や鼻からの呼気による泡の出方をVTR録画することが出来た。同時に今回開発した上記の方法で、鼻腔内圧も測定した。この結果、呼吸のために顏を上下に動かす時に、水深の変化に伴う鼻腔での圧変化も生じていることが判明した。泳者が水中で、進行方向の正面を見ているときと、水底を見るように伸びをとっているときで、鼻腔内圧が大きく異なることも明らかになった。
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