研究課題/領域番号 |
09680125
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 国士館大学 |
研究代表者 |
内藤 祐子 国士舘大学, 体育学部, 助教授 (00147258)
|
研究分担者 |
高柳 篤史 東京歯科大学, 歯学部, 研究助手
松本 高明 国士舘大学, 体育学部, 助教授 (10245681)
市川 公一 国士舘大学, 体育学部, 教授 (90119066)
|
研究概要 |
近年、咬合力や咀嚼に代表される口腔機能と身体運動機能との関連に関心が寄せられている。これまで、我々は体育学部男子大学生の咬合状態の評価を行うと同時に噛み合わせおよび顎運動の口腔診査を実施し、双方の関連性について様々な検討を加えてきた。本研究ではマウスプロテクターの装着による咬合状態の変化が口腔機能並びに運動機能にもたらす影響について検討を加えた。その結果、1)歯列によく適合したカスタムメイドのマウスプロテクターを装着すると、上下歯の噛みしめによる咬合力が増加することがわかった。また、左右咬合力バランスにも改善が見られた。2)咬合力バランスの改善にはポリカーボネイトを用いたバイトプレートタイプが有効であった。一方、加熱重合型シリコーンを用いたソフトタイプは弾性に富み歯や歯根膜に与える違和感が少ないため咬合力を著しく増大させた。3)下顎安静位(上下顎歯が接触する寸前の状態)と比べて最大随意性咬合力(最大のカで噛みしめた時)を発揮したときの方が、ヒラメ筋H反射の促通量は増加した。しかし、この噛みしめを継続させるとむしろH反射は減少した。4)マウスプロテクターを装着する方が装着前と比較し、噛みしめ時のH反射促通量の増加が顕著であった。この理由としてはプロテクターを着用することにより閉口時の咬筋筋紡錘や歯根膜の圧受容器からの入力に変化が生じ、ヒラメ筋の脊髄単シナプス反射が変調したと考えられる。これらの結果はプロテクター装着による運動機能の向上のメカニズムを知る上できわめて重要だと考えられる。特に、口腔からの情報の変化が速やかに全身の運動機能に影響をもたらす点は興味深く、今後詳細な検討が必要であると思われる。
|